2019.09.08
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配偶者短期居住権
こんにちは、田中です。
今回も改正相続法についてです。
前回までに説明させていただいた配偶者居住権以外にも、「配偶者短期居住権」が改正相続法で制定されました。
【従来】
現行民法では相続人が複数いる場合、被相続人の遺産は、遺産分割が成立するまでの間は相続人全員の共有状態となります。
つまり、これまで被相続人の建物に居住していた配偶者が、相続開始後にその建物に住み続けることができなくなる可能性があります。
なぜなら、居住を続けるためには他の相続人の同意が必要となるからです(通常は黙示の同意があるはずです)。
そこで判例は、遺産分割が成立するまでは、特段の事情がない限り配偶者相続人が当該建物を無償で使用することができることを判示し、原則、配偶者は遺産分割が成立するまでの間の居住権が確保されることになりました。
しかし、特段の事情がある場合や、建物が遺言によって第三者が取得した場合は保護されないため、このような場合を含めて配偶者短期居住権の規定が創設されました。
【改正】
配偶者短期居住権が認められる場合、配偶者相続人は無償で、一定期間、居住建物を使用することができます。
期間は以下のとおりとなります。
① 居住建物について遺産分割をすべき場合
遺産分割により居住建物の帰属が確定した日、又は相続開始の日から6か月を経過する日のいずれか遅い日
② 上記①以外の場合
居住建物を取得したものが配偶者短期居住権の消滅の申入れをした日から6か月を経過する日
配偶者短期居住権を取得した配偶者相続人は、上記の期間の間、当該建物を使用できます。
なお、この配偶者短期居住権は相続財産ではないため、配偶者相続人の具体的相続分からは控除されません。