2019.07.27
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配偶者居住権
こんにちは、田中です。
今日も改正相続法についてです。
今回の改正の目玉と言われているのが配偶者相続人の保護になります。
その中でも「配偶者居住権」について説明したいと思います。
【従来】
改正前の相続法では、配偶者を保護するには十分でないと考えられていました。
例えば、亡夫の相続人として妻と子1人がいた場合を考えたいと思います。
遺産は、居住建物(2000万円)と預貯金2000万円です。
法定相続分は、妻:1/2、子:1/2ですので、それぞれ2000万円ずつ相続できます。
この場合で妻が居住建物を相続した場合、それだけで法定相続分に達してしまうので、預貯金を相続できない場合があります。
つまり、妻は住む家を確保できても、今後の生活のための資金を取得することができません。
代わりに、妻が預貯金2000万円を相続した場合は、家を相続できない場合があります。
法定相続分通り相続すると、子が家を相続するため、子の協力がないと住む家がなくなることが懸念されます。
【改正】
上記のような、配偶者の相続の不都合を解消するために新たに作られた制度が、「配偶者居住権」です。
配偶者居住権とは、配偶者が居住建物を相続しない場合でも、原則、終身の間、当該居住建物に住み続けることができる権利です。
配偶者居住権は、下記の場合に取得することができます。
①遺産分割
②遺言
③家庭裁判所の審判
上記事例で妻が配偶者居住権を取得した場合を考えます。
配偶者居住権にも財産評価額があります。この事例では仮に1000万円だとします。
すると、妻は配偶者居住権(1000万円)と預貯金1000万円を相続し、子は当該建物(1000万円)と預貯金1000万円を相続します。
妻が配偶者居住権を取得した場合の方が、居住建物だけを取得した場合や預貯金のみを取得した場合と比べても、住む家を確保しつつ生活費も相続することができることになります。
今回は、配偶者居住権について簡単に説明させていただきました。
今後も配偶者居住権を含めた改正相続法について説明していきます。