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  • 2020.07.28
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信託監督人の業務

こんばんは。加古です。

 

以前、「信託監督人と受益者代理人」の中で、信託監督人について書きましたが、今日は、信託監督人の具体的な業務について書いて行きます。

 


 

○信託監督人の業務

信託監督人を端的に説明すると「受益者のために受託者を監視・監督する人」のことで、この信託監督人を置くか否かは「任意」となります。

 

また、家族信託契約書に信託監督人を定めていなくても、特段の事由(受益者が受託者の監督を適切に行うことができない特別の事情がある場合に、信託行為に信託監督人に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより信託監督人となるべき者として指定された者が就任の承諾をせず、若しくはこれをすることができないとき)があれば、裁判所へ申し立てることにより信託監督人を選任することが出来ます。

 

 

 

信託監督人の権限や監督方法は、家族信託契約で自由に決めることが出来ますが、一般的な日常業務としては、3か月から半年ほど毎に、受託者が管理する信託口口座等の通帳を開示してもらい、支出の内容(使途不明金はないか、毎月の賃料収入等が入金されているか)を精査し、また、受託者が支払った費用について請求書や領収書は適正か否かを確認します。

 

そして、受益者に対する財産給付(例えば、毎月の生活費の給付)がきちんとされているか、受益者に不都合は起きてないかを確認します。

 

これ以外に、家族信託契約の定めによっては、信託不動産の売却や購入、建物の解体や建設の重要な財産の処分行為について、承諾をしたりします。

※信託監督人を置く場合には、「重要な財産の処分を行う際には信託監督人の承諾を要する」とする家族信託契約にします。

 

なお、信託監督人の同意を得ないでした取引は無効とすることは出来ません。

ただし、信託不動産の処分に関しては、不動産登記簿の信託目録に信託監督人の住所と氏名、権限が載りますので、取引関係者は信託監督人の同意が必要であることを認識でき、受託者が信託監督人の同意を得ないで勝手に不動産を処分することを防ぐ事が出来ます。

 

家族信託を行っている中で、受託者が信託の目的や信託契約に違反し、又は受益者の不利益になることを行っている場合には、信託監督人は受託者に対し注意し是正を促します。

 

もし、それでも改善されないようであれば、受益者と協議の上、受託者を解任させることも可能です。

 

このように信託監督人には、受託者が不適切な信託業務をしないような権限を持たせることも一つです。

 

なお、受託者と信託監督人の関係性は、対立するようなものではなく、受託者の身近な相談相手として受託者の信託業務のアドバイスをするなどと考えるのが良いと思います。

 

 

 

○信託監督人の業務の始まりと終わり

信託監督人は一般的に、家族信託の効力が発生した時からスタートする場合が多いですが、当初は信託監督人を付けず、第2受託者が就任した時から信託監督人を付けるとのやり方も可能です。

 

一方、信託監督任の任務終了時期についても考えておく必要があります。

 

家族信託が終了した際の残余財産の帰属権利者として受託者が指定されている場合(例えば、長女が受託者として父親の財産管理を行っているケースで、父親死亡後は長女が残余財産を引き継ぐ)は、リスクは特段ありませんので、信託終了をもって信託監督人の任務も終了として良いでしょう。

 

 

他方、残余財産の帰属先が受託者となっていない場合(例えば、長女が受託者として父親の財産管理を行っているケースで、父親死亡の財産は父親の弟が引き継ぐ)は、残余財産が帰属権利者に引き渡され、全て完了するまでを信託監督任の任務とするべきと考えます。