2020.04.07
ブログ
信託口口座と信託専用口座について
こんばんは。加古です。
今日は、以前に書いたブログ
から、信託口口座と信託専用口座の違いについて記事にしたいと思います。
〇はじめに
以前の記事で、「受託者には分別管理義務がある」とお伝えしましたが、そもそも「分別管理」とはどうゆう意味でしょうか?
分別管理義務とは、信託された財産と自己の財産をしっかり分けて管理する義務のことです。
信託法には、不動産については「登記」、金銭は「その計算を明らかにする方法」と分別管理の方法が定められています。
・不動産は、我々司法書士が請け負って信託「登記」をすることにより分別管理を行います。
・金銭については、信託用の口座で管理し「その計算方法を明らかにする」ことで分別管理を行います。
つまり、金銭の分別管理方法における「その計算方法を明らかにする方法」とは、「帳簿上、分けて管理しなさい」ということです。
したがって、法律上は金銭を信託口口座で管理する義務はないのです。あくまでも、信託口口座は金銭の分別管理義務を果たすための一手法となります。
〇信託口口座
一般的に信託口口座には次の要件が求められます。
(1)信託の仕組みを活用していることが分かること。
(2)誰(委託者、受益者)のお金か分かること。
(3)誰(受託者)が管理しているか分かること。
(4)受託者の事情で口座凍結されないこと。
以上を踏まえると、信託口口座は、「委託者〇〇 受託者△△信託口」等の名義で開設された口座ということになります。
〇信託専用口座
信託専用口座とは、金銭を管理するために使用する受託者個人名義の口座です。
この信託専用口座は、受託者個人の口座であることから、口座名義に「信託口」等の文言は入りませんが、家族信託契約書に「金融機関名」「口座名義」「口座番号」を明記します。
したがって、第三者にも信託のための口座であることが明確です。
また、家族信託契約書から「誰のお金が入っているのか」が明確であり、受託者個人の通帳なので「誰が管理しているか」一目瞭然です。
しかし、受託者が死亡した場合、受託者が差し押さえを受けた場合は、信託専用口座は受託者の個人口座ですので、口座凍結されてしまう恐れがあります。
つまり、上記で述べた信託口口座とは違い信託専用口座では、「受託者の事情で口座凍結されてしまう」ことになります。
〇リスクを減らす
信託財産である金銭を管理するには、信託口口座が最適ですが、全国的に信託口口座を開設できる金融機関は多くありません。
そのため、実務では信託専用口座を利用することが多々あります。
信託専用口座には、「受託者の個人の事情による口座凍結」のリスクがありますので、信託専用口座の利用の際には、そのリスクを回避し、またリスクを最小限に抑えることが必要です。
司法書士法人アストラでは、お客様のニーズに応えることを優先するとともに、リスクを抑えるためのアドバイスも行っております。
是非一度、ご相談下さい。