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2020.06.02

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親が認知症になった場合、財産はどうなる?

こんばんは。加古です。

 

厚生労働省が2014年に発表した「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、認知症高齢者は今後も増加し、2025年には65歳以上の約20%が認知症を発症すると言われています。

 

認知症はどのご家庭でも他人事ではなくなっているのです。

 

そして、何にも対策もしないまま、親が認知症になってしまうと非常に困ったことになってしまいます。

 

1.認知症になると困ることとは?

認知症などで意思能力がないと判断されると、契約などの法律行為が出来なくなります。

具体的には、土地建物などの売買契約や賃貸契約をしたり、その管理契約などです。

また、遺言を書いたり、預金を引き出したり、定期預金を解約したりということも出来なくなります。

 

認知症の親が施設へ入所することになった場合、まとまったお金が必要になってきます。預金の引き出し等が出来なければ、子供が立替えるしかありません。立て替えるにしても限界があろうかと思います。

 

本人が亡くなると、財産が凍結されることは知られていますが、認知症の場合も本人の意思を確認が出来ないと財産を動かすことが出来ません。

事実上、財産が凍結されると考えてよいでしょう。

 

意思確認を行うのは、不動産の売買であれば司法書士です。公正証書遺言であれば公証人ですし、定期預金の解約であれば銀行の担当者です。

 

普通預金の場合は、家族がATMで引き出したりするケースがあるようですが、法的に問題があります。本人に判断能力がないため、預金を私的に流用していると疑われかねません。

また、将来的に遺産分割協議の場で、「親のお金を勝手に使い込んでいた」などと、トラブルに発展する恐れがあります。

一方、認知症と診断されても、初期認知症では調子の良い時もあります。

 

したがって、判断能力があって意思も確認できれば、契約を結ぶなどの法律行為を行うことが出来ます。

 

では、認知症に備えるとは、どのようにすれば良いのでしょうか?

 

 

2.認知症に備えた財産管理

(1)成年後見制度
成年後見制度は、後見人が高齢者など判断能力が十分でない方に代わって法律行為を行い、財産管理や身上監護(介護保険の申請、施設への入所契約など本人の生活・療養・治療や介護に関すること)をする制度です。

 

成年後見(法定後見)は、裁判所への定期報告があり、自宅などの売却には裁判所の許可が必要であるため、堅実で明朗な財産管理が期待できます。

 

しかし制度上、「本人の財産を維持すること」を財産管理の基本方針としていますので、財産の管理・処分についてどうしても自由度が低くなります。

 

また、後見人は家庭裁判所が選びますので、親族以外の第三者(司法書士や弁護士など)が後見人となる可能性がありますし、第三者の後見人は定期的に報酬が発生します。

 

 

(2)任意後見制度
「任意後見」は、将来、自分の判断能力が低下した場合に備えてあらかじめ後見人を自分で決めておくことができる制度です。その他にも、後見人に託したいことを自分で定めることが出来ます。

 

後見人にお金だけでなく、不動産の管理を任せるか否か、不動産の売却を任せるか否か、そして、後見人の報酬をどうするか?まで自分で決めることが出来ます。

 

「任意後見制度」は、法定後見制度よりも事前に色々決めれることから利便性は高い制度です。

 

(3)家族信託
「家族信託」は、信頼でき家族に財産を託して、託されたものは事前の契約に定めたことに従って、託された財産を管理、処分することが出来る制度です。

 

ある程度、柔軟に管理等できるようにしたい場合は、「家族信託」です。

※ただし、「家族信託」で何でも出来るわけではありません。

 

家族信託であれば、法定後見や任意後見と異なり、裁判所が関与することもありませんし、財産の使途も自分の望むようにできます。

 

このように、家族信託は、認知症などの場合の備えとして最も柔軟な対応ができる制度と言えます。

 

各制度の詳細については、以前のブログに書いてありますので、参考にして下さい。

成年後見、任意後見、家族信託の使い分け

 

4.最後に

親が認知症になる場合に備えて話し合いをすることに抵抗があると思います。

 

しかし、親がいつ認知症を発症するかは分かりません。いざという時に親の財産が凍結されて慌てることがないよう、事前にしっかりと準備しておくことが何よりも大切です。

 

早くご相談頂けると時間的な余裕が生まれます。余裕があればじっくりと考える事ができ、選択肢が増え、より良い解決策をご提案することが可能となります。

 

将来に備えて、財産管理について検討してみては如何でしょうか。

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