2019.05.22
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会社のホールディングス化とM&A
こんばんは!副代表の加古です。
先日、クライアントより【会社の「ホールディングス化」と「M&A」】について教えて欲しいとの依頼があったので、今日はまとめたものを記事にしたいと思います。
1.ホールディングスとは
ホールディングスは、基本的に事業を運営せずに、傘下にしている会社の株式を保有・支配してる会社の事を指します。
日本語では「持株会社」や「持株会社制度」という意味があり、持株会社制は1997年に解禁された新しい企業の形態で、企業が親会社兼大株主となる姿のことです。
2.ホールディングスのメリット
(1)意思決定が迅速になる
個々の事業は傘下の企業に任せたうえで、ホールディングス会社はグループ全体の経営戦略に特化することで、経営の迅速化が図れ、効率的な会社経営が可能となる。また、傘下の企業が個々の事業を行うことから、事業ごとの権限と責任も明確化できる。
(2)事業ごとのリスク分散
傘下である1つの事業会社が莫大な損失を出した場合、ホールディング会社と当該子会社は損失を被ることになるが、他の事業会社は影響を受けません。
(3)各事業の実情に応じた人事制度の導入
資本が同じでも、個々の事業会社に合わせた人材採用や人事評価を行う必要があります。
ホールディングス化は、傘下の事業会社へ権限移譲により、実情に応じた人事制度を導入することが可能です。
(4)M&Aを行うにも迅速な対応が可能
ホールディングスの下に事業会社を置くことで、外部からの事業会社の買収は不可能となります。また、それぞれの事業会社毎に決算を行うことで、会社売却時のデューデリジェンスが行いやすく、比較的容易に売却交渉を行うことが可能。
(5)損金算入限度額が増える
ホールディングス会社は、子会社からの受取配当金について、その全額を不算入扱いとすることが可能。
(6)相続税対策になる
オーナー経営者が所有するグループ内各社の株式をホールディングス会社を通じて持つようにすると、通常はオーナー経営者の所有する株式の評価額を引き下げることができるので、相続税対策としても活用できます。
3.M&Aとは
M&Aとは、「Mergers(合併)」&「Acquisitions(買収)」の略で、「合併と買収」という意味です。
簡単に言うと、企業の合併買収のことで、2つ以上の会社を一つにしたり(合併)、他の会社を買ったりすること(買収)です。M&Aの広義の意味として、会社同士の提携まで含める場合もあります。
売り手企業は、事業承継や資金調達、中核事業への集中、自社の生き残りを目的としてM&Aを戦略的に実行します。
買い手企業は、事業規模を広げる目的や新規事業の早期実施を目的として、M&Aを戦略的に実施するのが一般的です。
4.M&Aのメリット
(1)ローリスクで事業拡大
新しい事業を一から始めるには多くの時間とお金がかかります。加えて様々な内的・外的要因により失敗してしまうことも多いです。
M&Aをすることで、既に事業として成り立っているものを自社に取り込むことができます。これは、何もないところから新しい事業を立ち上げるよりも、はるかに低いリスクで事業を拡大していくことができます。
(2)事業成長のための時間短縮
既存の事業を成長させる際にもM&Aは活用できます。既に事業として成り立っているものを自社に取り入れ、成長にかかる時間が短縮されます。
(3)弱点強化・技術向上
自社の弱い部分を補完できる企業を買収することで競争力が上がり、収益力強化が可能です。
人材、特許やノウハウなどの技術力を取り込むことができるため、技術力や研究開発力が向上します。
(4)ライバルを取り込める
市場が成熟期にある場合に、M&Aによりライバルを取り込むことが出来れば、シェア獲得競争による体力消耗から、企業の持続性を保つことができます。
次回は、それぞれのデメリットについて記事にしたいと思います。