2021.02.03
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家族信託の併合
こんばんは。加古です。
家族信託は、委託者の財産を長く管理し、想い通りに承継させる制度ですが、この信託は「併合」や「分割」をすることが出来ます。
○信託の併合
「信託の併合」とは、受託者が同じである二つ以上の信託財産の全部を一つの新たな信託財産にすることを言います。
例えば、①「父を委託者兼受益者、長男を受託者とする家族信託」と②「母を委託者兼受益者、長男を受託者とする家族信託」をしているときに、父が死亡し、受益権を全て母が相続した場合、①と②の家族信託は受益者が同一となるため、2つの家族信託を1つにまとめることです。
○信託の併合の方法
(1)信託行為(※信託の目的を達成するために必要な行為をすべきことを家族信託契約に定めたもの)で併合が認められる要件を定めることが出来ます。
(2)当事者による併合
①委託者、受託者及び受益者の合意
※委託者がこの時点でいない場合は、3者間での併合は出来ません。
②受託者と受益者の合意
※信託の目的に反する場合は、2者間でも併合は出来ません。
③受託者の意思表示
※信託の目的に反する場合、及び信託の併合が受益者の利益に適合しない場合は、信託の併合は出来ません。
○信託の併合に伴うその他手続き
信託の併合により、信託財産である不動産について、権利関係の変更が生じた場合には、信託の併合を原因とする、信託の変更登記を行うことになります。
信託の併合に関する登記をする場合には、以下の登記申請を同時に行います。
(1)信託の併合により、別信託の目的となった旨の登記
(2)不動産に登記されていた、信託についての信託登記の抹消登記
(3)新たに不動産に関する権利が属することになる信託の登記
○注意点
信託の併合をする場合は、信託における債権者(貸し手や返してもらう権利を持っていいる者。例えば、銀行ローンの銀行側)を害する恐れのないことが明らかである場合を除き、その債権者は、受託者に対して信託の併合について異議を述べることが出来ます。
これを「債権者保護手続」と言います。
したがって、信託の併合をする場合は、上記「信託の併合の方法」以外にも債権者保護手続きが必要となるケースがあることに注意が必要です。