2021.01.19
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家族信託における追加信託とは
こんばんは。加古です。
今日は、「家族信託中の追加信託」についてです。
家族信託を利用すれば、自宅・金銭・アパート・有価証券など色々な財産を信託することが出来ますが、信託を開始していくうちに想定外な事が起こる可能性があります。
例えば、委託者兼受益者である父親が病気や事故で高額の費用が必要となり、当初、想定していた信託財産が不足する場合です。
このように託され財産だけでは補えなくなった場合は、信託契約時に定めていなかった財産を追加することが出来るのですが、この信託財産を追加することを、「追加信託」といいます。
具体的には次のとおりです。
○追加信託の基本
追加信託は、契約であるので、委託者と受託者との間で追加信託の合意が必要です。
万が一、追加信託をするときに委託者が認知症等を発症し、物事の判断能力が低下していると、追加信託を行うことは出来ません。
したがって、実務では家族信託契約書に「追加信託できる旨」をあらかじめ定めておきます。
○金銭の追加信託
金銭の追加信託については、先ほど説明した委託者と受託者の合意の他に、家族信託契約書に「追加信託ができる旨」の条項を定めておくことで、追加することが出来ます。
この条項があることにより、委任者が信託口口座に金銭を振り込むことによって、金銭の追加信託が完了するのです。
では、不動産はとうでしょうか?
○不動産の追加信託
当然、不動産も金銭と同じく追加信託をすることが可能です。
ただし、不動産の場合は、家族信託契約書内に「追加信託ができる旨」の条項があったとしても、それだけは不十分で、不動産が信託財産である旨の信託登記手続きが必要となります。
不動産を追加信託する場合の登記手続は、委託者である親と受託者の子が共同して登記申請を行うため、金銭の追加信託のときのような、振込手続で合意に代えることは出来ません。
また、登記手続に際しては、委託者と受託者は司法書士との面談が必要です。
次に、どのような財産でも追加して信託出来るのでしょうか?
答えは、そうとは限りません。
家族信託契約書には必ず「信託する目的」が定められていますので、その目的に反するような財産を追加することは出来ません。
○最後に
一度に多額の財産を信託することに不安な場合は、少ない財産から家族信託をすることが出来ます。まず、家族信託の枠組みを作り、徐々に信託財産を増やしていくやり方が今回の「追加信託」です。
家族信託にも色々なやり方がありますので、どのようなやり方が良いか、是非、ご相談下さい。