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2020.10.06

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家族信託契約と判断能力

こんばんは。加古です。

 

先日、家族信託のご相談者様から、「家族信託を利用したいが、母は認知症の診断を受けています。この状態でも家族信託は出来ますか?」との質問がありました。

 

家族信託に限らずですが、「認知症だが契約は出来るか?」「要介護認定を受けているが、大丈夫か?」等の質問を良く受けますので、今日は、契約締結と判断能力について、書いて行きたいと思います。

 


 

○契約締結に必要な判断能力

家族信託契約は、委託者と受託者で契約を締結することで開始します。

 

したがって、契約当事者の一方が認知症などにより判断能力(物事を判断する力)が失われている場合には、契約が出来ませんので、家族信託を利用することができません。

 

しかし、医師から認知症と診断されたからと言って、必ずしも家族信託が利用出来ないと言うわけでもありません。

 

それは、契約の成否を判断するのは「判断能力」の有無だからです。

 

 

「判断能力」とは、物事を判断する力のことを言います。

 

判断能力には、契約書の詳細な内容まで理解している必要はないですが、契約締結の目的、契約締結による効果、委託する財産の内容、受託者は誰なのか、受託者の権限、そして契約終了事由等の理解は求められると思います。

 

○認知症状がある場合

軽い認知症の症状がある場合であっても、家族信託契約の締結時に上記のことを理解していれば、家族信託契約の締結は可能です。

 

ただし、後々、家族信託契約の効力を争われないように、医師から判断能力に関する診断書を書いてもらう方が安心だと思います。

 

実際には、委託者である方がどの程度、理解出来るかどうかを見極めるために、直接お会いし色々とお話をせさて頂きます。お話させて頂く中で、ご本人の希望や想いも確認します。

 

また、介護保険制度の介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている場合ですが、介護認定は「①歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的動作を自分で行うこと、②薬の内服、電話の利用などの手段的日常生活動作、について支援が必要であったり、困難である方を対象にしたもの」であり、家族信託の契約締結に必要な判断能力とは別のものですので、介護認定と判断能力には、直接の関係はありません。

 

なお、契約が出来ないほど認知症状が見受けられ、かつ、財産管理や生活支援を円滑に行う必要がある場合は、法定後見制度の利用をおススメします。

 

 

法定後見制度については、次のブログを参考にして下さい。

「成年後見、任意後見、家族信託の使い分け」

中日新聞掲載「成年後見と家族信託の違い」

親が認知症になった場合、財産はどうなる?

 

 

○最後に
家族信託が利用出来るか否かは、判断能力の有無によって判断されてしまいます。

家族信託を活用したくても、判断能力の低下が著しく、家族信託の活用を諦める御家族もたくさん見てきました。

 

家族信託は本人を筆頭にご家族の希望や想いを実現するのに、有用な制度です。

 

ご本人が元気なうちに家族信託などの利用について家族間で是非、相談されることをおススメ致します。

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