2020.08.11
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清算受託者と帰属権利者
こんばんは。加古です。
今日は「清算受託者と帰属権利者」についてです。
○清算受託者について
家族信託契約で定めた契約終了事由や信託法163条の規定(①信託の目的を達成したとき、又は信託の目的を達成することができなくなったとき。②受託者が受益権の全部を固有財産でゆする状態が一年間継続したとき。③受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が一年間継続したとき。など)に該当して、家族信託契約が終了した場合は、受託者が「清算受託者」として家族信託の清算事務を行うことになります。
「清算受託者」の主な仕事は、信託業務の清算(資産の取りまとめや債務・諸費用の支払いなど)と残った財産(残余財産)の引渡しとなります。
家族信託契約において家族信託終了時の受託者が残余財産の権利帰属先として資産を引き継ぐケースでは、受託者がそのまま清算受託者とするケースが多いのではないでしょうか。
また、「清算受託者」は、財産を預かって管理処分するのが仕事ではなく、清算行為が仕事ですので、信託業法の適用は受けません。したがって、清算受託者が報酬を受領することが可能です。
○帰属権利者について
委託者は、家族信託契約が終了した場合や家族信託契約が合意解除された場合、残った信託財産(「残余財産」といいます)の帰属者をあらかじめ指定することが出来ます。
これを「帰属権利者」と言います。
なお、指定した帰属権利者が先に亡くなってしまうなど想定外の事態に備えて、予備的な帰属権利者を指定しておくと安心です。
また、帰属権利者として特定の人を指定せずとも「残余財産の帰属権利者は受益者の法定相続人とし、具体的な財産の帰属先や帰属割合については、当該相続人全員の協議に委ねるものとする」などとすることも可能です。
そして、家族信託契約を合意解除して家族信託が終了する可能性も無いわけではありません。この場合に備えて、「家族信託を合意解除した場合は、家族信託終了時の受益者に帰属させる」などの条項を設けておきます。
そうしないと、受益者の存命中に家族信託が終了し残余財産が受益者以外の者に帰属することとなった場合には、財産の移動とがあったとして「みなし贈与」の課税対象になってしまうからです。