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2020.07.07

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受託者の任務不能・死亡

こんばんは。加古です。

 

今日は、受託者の任務不能・死亡についてです。


 

○受託者の任務不能

家族信託契約を締結して信託業務が進んでいく中で、受託者自身が健康を害したり、病気・事故で亡くなられてしまう可能性があります。

 

家族信託期間中に受託者が死亡した場合、家族信託契約に特段の定めが無ければ、新たな受託者を探す必要があります。

 

しかし、新たな受託者を選任したくても簡単に見つからないこともあるかと思います。また、委託者兼受益者である親は老親であることも多いので、親御さんの判断能力低下により後任の受託者を選任することが出来ないケースもあります。

 

もし、新たな受託者を選任することが出来ず1年が経過してしまうと、家族信託契約は強制的に終了してしまいます。

 

そこで、実務的には家族信託契約において「第二受託者」を定めておき、契約が終了してしまうことを防いでいます。

 

<次順位の受託者>

次順位の受託者は、すぐに受託者として信託財産の管理等を行うわけではありませんので、家族信託契約の締結の当事者にはなりません。

当初の受託者が何らかの理由で財産の管理を行うことで出来なくなった時に、受託者として就任を承諾するか否かとなります。

もちろん、家族信託の設計段階で次順位受託者の候補者には、家族信託の趣旨や仕組み、信託業務の説明をし、理解してもらいます。

 

したがって、受託者が先にいなくなってしまうリスクも念頭に、「次の受託者を指定しておく」か、「次の受託者を指定する方法」を家族信託契約に規定しておくことが大切です。

 

○受託者が死亡した場合

家族信託における受託者が死亡した場合には、受託者としての任務は終了します。

しかし、家族信託契約自体は終了せず、契約はそのまま継続となります。

 

また、受託者が死亡しても受託者の地位は、相続の対象にはなりませんので、相続人が次の受託者となるわけではありません。

 

さらに、受託者に託された信託財産は受託者の財産ではありませんので、相続人が信託財産を相続財産として承継することもありません。

 

受託者の相続人は、知れたる受益者に死亡の旨を通知したり、新受託者が信託事務を引継ぐまで信託財産を保管する義務を負うにとどまります。

 

そして、家族信託契約において、次順位受託者が指定されている場合や指定方法が規定されている場合は、次順位受託者が信託業務等の引き継ぎを行い、家族信託を継続していきます。

 

次順位受託者が設定されていなかった場合には、委託者及び受益者の指定により新たな受託者が設定されることとなり、受益者が指定しない場合には、裁判所に申し立て行い、受託者の選任を求めることになります。

 

なお、上述しましたが、受託者が死亡後、受託者が1年間選任されない場合には信託が終了するものとされています。

 

 

 

○最後に
信頼できる受託者を簡単に用意することは困難な場合も多いでしょう。
そこで、委託者の想い通りに家族信託の継続性を考えると、家族信託の内容によっては、受託者を「法人」とするのも選択肢の一つとなります。

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