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  • 2020.05.05
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上場株式と家族信託

こんばんは。加古です。

今日は、家族信託の中でも「上場株式の家族信託」について説明したいと思います。

 

未上場の株式信託に関するブログはコチラ。

 


 

お客様の中には、「上場株式を家族信託したい」というご要望が少なからずあります。しかし、この要望に応じてくれる証券会社が少ないのが実情です。

実務上、上場株式を家族信託の信託財産とする事例は多くはありません。

 

 

〇上場株式と成年後見制度

 

まず、何ら対策をしていなかった場合、どうなるでしょうか?

 

認知症で判断能力を失った場合には、当然ながら自分自身で上場株式の管理や売却をすることが出来ません。

 

自分自身で管理や売却が出来ないので、成年後見制度を利用することになります。

 

成年後見制度を利用して上場株式の売却をするのは、後見人の判断で行いますが、多額の含み損が発生する場合や株価動向などによっては、裁判所と協議する必要があります。

 

また、成年後見制度は原則、株の取引など投機的な取引は認められていませんので、新たに値上がりしそうな会社の株式を購入することは出来なくなります。

 

 

〇証券会社に代理人届を提出する方法

 

認知症に備えて口座凍結をさせないためにとれる手段として、証券会社に代理人届を提出し、ご家族を代理人として証券口座の管理などをするする方法があります。

 

しかし、代理人届は本人の正常な判断能力に基づく届出であり、また、代理人が株式の取引を行う制度でもあるため、本人の判断能力の低下後に本人の代理人として株取引を継続することは、親族との間で紛争になってしまう恐れがあります。

 

また、証券会社によっては、本人の判断能力低下後は代理人による株取引が出来なくなる可能性もあります。

 

 

〇家族信託の利用

 

上場株式などを管理するためには、証券会社での信託口口座開設手続きが必要となります。これは、金銭管理を行う銀行の信託口口座とは別のものであり、上場株式用の信託口口座を開設する必要があります。

 

株式は企業評価・経済情勢により株価が上がったり下がったりするものです。現金を信託財産とした場合と異なり、財産が目減りすることがあるということをも考えておく必要があります。

そのため、信託契約の時点で、どのような運用(例えば、財産の維持を優先するのか、積極的に運用し財産を増やすことを優先するのか)をするのか定めておくべきだと思います。

 

なお、財産が目減りするような運用は、受託者の善管注意義務違反が生じる恐れありますので、注意して下さい。

 

<証券口口座開設の注意点>
信託口口座開設に対応している証券会社においても、個別で定められている要件があるため、実際に上場株式を家族信託する場合には、信託契約の内容を検討する段階で、証券会社と打合せをしておくことが必要です。

 

また、証券会社によっては、特定口座(証券会社が年間の売買取引を計算して納税する)の利用が出来ない可能性がありますし、NISAも利用できない可能性がありますので、事前に確認する必要があります。

 

 

〇最後に

 

現時点では上場株式の信託は選択肢が少ないですが、証券口口座の開設に対応する証券会社も増えてくるはずです。

 

上場株式の家族信託は注意点が多くありますので、信託契約の締結前からしっかりと準備しておくことが大切です。