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  • 2019.12.04
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ローン付不動産と家族信託(その2)

こんばんは!加古です。

前回のブログの最後に、「抵当権が付いた不動産を信託財産としても、そのローンの借主は委託者のままです。実務では、この点の説明や対応に非常に労力を要します。」と説明しましたが、これはどうゆうことなのでしょうか?

今日は、この点について説明していきます。

 


○抵当権付不動産の債務引受けについて

1.住宅ローンの繰り上げ返済について

 

家族信託を行う理由として、「委託者(親)の判断能力が低下した場合でも、自宅を売却できるようにしておく認知症対策」があります。

 

住宅ローンを担保する抵当権が付いてる自宅を売却するに際して、債務者(借りた人)が委託者(親)のままだと、売買代金でのローンの繰り上げ返済で困ってしまいます。

 

それは、住宅ローンの債務者が委託者(親)のままだと、金融機関が繰り上げ返済手続きをスムーズに処理してくれいない可能性があるからです。

 

自宅の売却自体は、受託者(子)が適法に行うことができますが、繰り上げ返済の手続きは債務者(親)がすることが求められます。

 

この際に、債務者である委託者(親)が判断能力を失っていれば、この繰り上げ返済手続きができません。

 

また、受託者(子)は、住宅ローンの債務者で無いため、受託者(子)が代わりに繰り上げ返済することもできません。

 

このように、ローンの繰り上げ返済をスムーズに行うためには、住宅ローンの債務者(借主)を受託者に変更する債務引受けが必要となるのです。

 

2.家賃口座の管理について

上記では「自宅」のケースでしたが、アパートなどの収益不動産に抵当権が付いている場合も、ローンの借主が委託者(親)のままだと問題があります。

 

金融機関としては、万が一、ローンの返済が滞った場合は、委託者(親)名義の家賃口座を止めて、残高で滞納金を差し引く(相殺)ことで滞納金の回収が出来ます。

 

しかし、家族信託契約締結すると、家賃は今までの入金・返済口座ではなく、受託者(子)が管理する口座に入金されるようにしますが、ローンの返済口座は家族信託契約をしただけでは変わることはありません。

ローン返済口座は、従来の委託者・受益者(親)名義の口座のままです。

 

このままだと、家賃入金口座(受託者である子が管理する口座)とローン返済口座(親名義の口座)が別々ですので、上記で説明した、ローン返済が滞った場合の相殺を金融機関が出来なくなります。

 

 

以上のことから、抵当権付不動産を信託財産とする場合は、金融機関の承認を得て、ローンを受託者(子)に引き受けてもらい、受託者(子)が管理する家賃入金口座とローン返済口座を同じにする必要があります。

 

そのためには、ローンについての借主を変更する「債務引受け」を行います。

○債務引受けの方法

ローンの債務引受けには、金融機関・債務者(委託者)・引受者(受託者)の三者間で次の契約を行います。

 

①免責的債務引受

委託者(親)のローンを、受託者(子)が完全い引き受ける方法

➡ローンは、受託者(子)に完全に移るので、委託者(親)は今後、ローンを支払う必要はなくなります。

 

②重畳的債務引受

委託者(親)のローンを、受託者(子)が一緒に引き受ける方法

➡ローンは、委託者(親)と受託者(子)が一緒に支払っていくことになります。

 

 

○まとめ

家族信託に慣れていない金融機関に対しては、家族信託の制度にはじまり、これまで述べてきたことを丁寧に説明する必要です。

そして、金融機関によっても対応をまちまちで、非常に時間がかかることもあります。

 

自宅やアパートを信託財産とする家族信託をご検討中の方は、是非、一度ご相談下さい。