2019.11.20
ブログ
親のアパート管理と家族信託
こんばんは!加古です。
アパート管理と家族信託について質問があったので、ご紹介します。
Q:
私の父は70歳で、アパートを所有しています。父一人ではアパートの管理が大変なので、管理会社とのやり取りや家賃口座の管理、税金申告などの管理業務全般を私が代行しています。父が認知症になっても、これまでと同様に管理業務を続けるためにはどうすればいいですか?
A:
(1)親が認知症になると管理の代行ができなくなります。
親が収益不動産であるアパートを所有し、子供が管理している事はよくあるケースだと思います。
しかし、親が認知症になってしまったり、入院したりすると管理が難しくなります。
それは、家賃が入る口座からお金の出入金ができなくなるからです。
口座からお金を引き出す場合、銀行の窓口では本人確認をされます。口座名義人である親が窓口に行けないと、お金をおろせません。
キャッシュカードであっても、普段の生活費程度なら引き出せますが、修繕費など大きな支払いはできません。
また、親の口座から子供が引き出し等を行うと後々トラブルになる可能性もありますので、注意が必要です。
ただし、代理人用のキャッシュカードである「代理人カード」を発行してくれる銀行もありますが、口座名義人本人
である親が窓口に行って手続きをする必要があります。
このように、アパート管理については、親が認知症や病気などで、銀行の窓口に行けなくなると、支障が出てしまいます。
(2)成年後見制度を利用するのはどうか?
成年後見制度は、認知症などで物事の判断力がなくなった親に代わって、後見人と呼ばれる人が財産管理をする制度です。
親が認知症になっても成年後見制度を利用すれば、口座からの入出金は問題無く出来るようになります。
しかし、お金の使い道まで自由というわけではありません。
成年後見制度では、親に代わって財産管理する人について、家庭裁判所に監督されます。
毎年、財産管理報告書を裁判所へ提出し、お金の使い道などは家庭裁判所からチェックされます。
後見制度の重要な点として、財産管理の方針は、「本人(親)のため」「財産の維持(現状維持)」が原則となります。
したがって、孫の入学資金や住宅購入資金として贈与したり、投資的なお金の使い方はできません。
アパート収益を上げるための施策が、「投資的」と見られる可能性があります。
さらに、親に代わって財産を管理する人(成年後見人)は、家庭裁判所が選任します。
子供を成年後見人に希望していても、専門職(弁護士や司法書士)が成年後見人になる可能性があります。
そうすると、親の通帳など財産全部は、その専門職が管理することになります。
(3)家族信託ではどうか?
家族信託契約を締結しておけば、上記のような制限は無くなります。
家族信託契約を親と子供で結べば、託された子供は託された目的に従って財産を管理・処分・承継します。
具体的には、子供が家賃口座の入出金や修繕・リフォーム工事の依頼、空室対策などアパート管理全般、却等を適法に行うことが出来るのです。
これらに誰の許可も不要です(逆に、子供が独断で行わないように許可制にすることも可能です)。
そして、アパートの記録(登記簿)上ではありますが、アパートの名義やお金が親から子に渡ります。これは「生前贈与」のように見えますが、賃料などの利益を最終的に受け取ることができる「受益者」を委託者である親にしておけば、税務上は贈与と見られず、贈与税はかかりません。
家族信託契約の他にも財産管理の方法は色々ありますので、まずは専門家にご相談下さい。親御様や御家族の想い、お悩みや不安をしっかりと把握し、ご希望を叶えられる最適な方法をご提案いたします。