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2019.05.08

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株式の強制取得について

こんばんは!副代表の加古です。

前回の記事「名義株の放置はトラブルの元です...」中で、「名義株主が名義変更・承諾書を拒否した場合には、強制的な方法を選択することになります。」と書いたところ、強制的な株式取得方法について、詳しく教えて欲しいと問い合わせがありましたので、「株式の強制取得について」説明したいと思います。


 

1.はじめに

少数の株式しか持っていない株主も会社法上の株主としての権利が認められていますが、少ない株式数だから影響力が無いと安心していませんか?

ある日突然、その株主としての権利行使をしてくる場合や会社経営を邪魔してくる場合があります。

 

会社においては、様々な理由により株式が分散し、少数株主が発生してしまうことや、意図しない株主が現れたりすることが多々ありますが、この株式分散・少数株主・意図しない株主の存在が弊害となるケースは実はよくあります。

まず、その株式分散等の原因としては、

(1)創業者の相続により株式が移転する

(2)発起人が7名必要であった時期に設立された会社において、社長以外に株式(名義株を含む)を保有する株主が残っている

(3)従業員や取引先に株式を持たせている

この分散した株式の集約、少数株主等からの株式取得が必要とされる理由は、以下のようなものです。

(1)事業承継やM&Aにおいて会社の支配権を100%移転したい

(2)支配権を強化して会社の意思決定を迅速にしたい

(3)安定的経営の支障となる対立する株主を排除したい

(4)連結納税、グループ法人課税などの税務上のメリットを享受したい

 

株主の整理(排除)について、任意の話し合いで株式を買い取ることができれば一番良いですが、任意の買取りが出来ない場合はどのような手法があるのでしょうか?

 

2.株主の整理(排除)の代表的な手法

一般的に、株主を整理する際には以下の手法が採用されています。

 

(1)特別支配株主(議決権の90%以上を有する株主)の株式等売渡請求制度の活用
・特別支配株主から会社に対し売渡請求をするように通知

・会社が売渡請求をするか否か決議

・会社から対象株主(他の株主全員)に対する売渡請求の通知

・取得日に買取効力の発生

・金銭の交付

(2)全部取得条項付種類株式の活用
・既存の株式に「全部取得条項」を付ける。※全部取得条項とは会社が株主総会の決議によって株式全部を取得することができる条項が付いた株式です。

・会社が全株主から全部取得条項付株式を取得し、取得の対価として新株を交付する。

・新株の交付比率の調整を行い、少数株主が受け取る対価を1株未満の端数とする。

・端数株式を買取し、金銭を交付。

(3)株式の併合
・株式を合わせて小数の株式とする(例:100株を1株にする)。

・少数株主の保有株式を1株未満の端数に調整する。

・端数株式を買取し、金銭を交付。

(4)金銭交付を伴う株式交換
・少数株主を排除したい会社(子会社)と株式交換契約を締結する。

・少数株主を含む会社の株主から、株式を取得。

・株式取得の対価として、自社(親会社)の株式ではなく、金銭を交付する。

(5)金銭交付を伴う吸収合併
・排除したい少数株主がいる会社(消滅会社)と合併契約を締結する。

・合併の対価として、自社(存続会社)の株式ではなく、金銭を交付する。

 

3.留意すべきこと

(1)会社法が定める手続をしっかりと守ること
上記の手法が会社法が定める諸手続に違反している場合は株主から、差止処分や株主総会決議の取消訴訟などが提起される可能性があります。
そのため、手続をしっかり守ることが重要です。

(2)株価算定をして買取価格の適正性を確保する
スクイーズアウトが行われる場合、締め出される少数株主としては、上記の効力を争う他に、株式の買取等を求めたり、買取価格に不満がある場合は裁判所で買取価格を争うことが可能です。

したがって、万が一に備えて裁判所を納得させれる合理的な株価算定の根拠が必要です。一般的にはあらかじめ公認会計士等に依頼し、株価の算定をしてもらい買取価格の適正性を確保します。

 

4.最後に

どの手法を採用するのが良いかは、ケースバイケースで、税務上の問題も検討しなければなりません。

詳しくは、アストラまでお問合せ下さい。

 

 

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