2019.04.24
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名義株の放置はトラブルの元です...
こんばんは。副代表の加古です。
今日は、前回、私が書いたブログテーマ「事業承継」にも絡む「名義株」について書いていきたいと思います。
1.名義株とは
名義株とは、他人の名義を借用して株式の引受、金銭の払込みがなされた株式で、株主名簿上の名義人とその株式の真の名義人とが異なる状態となった株式をいいます。別の言い方をすれば「書類上の所有者と実際の所有者が違う状態の株式」のことを言います。
この「名義株」が生じてしまうかと言うと、主に平成2年の商法改正前までは、会社を設立するには最低7名の発起人が必要でした。7名もお金を出してくれる同志を集めることは難しいために親族や知人の名前だけを借り、その人がお金を出したことにして会社を作ることが行われていました。また、会社設立後、従業員等に株を持たせることにして名義のみ変えていることも考えられます。
親族、知人や従業員は、名前を貸しただけなので、自分がその会社の株主であることを知らないケースが多々あります。
実際にお金を出したのはオーナーである社長だが、株主として登録されているのは別の人、つまり「名義株」です。
2.名義株の問題点
名義株の最大の問題点は、名義株は名義人の財産ではなく実質的な所有者(真の所有者)の資産とされてしまうことです。
株主名簿上(書類上)の株主が亡くなり、相続が発生すれば、会社は全く関係無い者から株主としての権利行使をされる恐れがあります。名義株の相続人から株主としての権利行使された場合は、拒むことができません。名義株であったとしても、法律上は正当な 株主の権利行使です。この権利行使を拒むと、訴訟に発展する可能性もあります。
また、事業承継を行うに際しては、税金の優遇措置があるのですが、税制の適用には先代の経営者、後継者の議決権の割合が判定の要素となります。名義株をそのままにしてしまうと、この判定の際に適用を否認されてしまい、事業承継で多額の税金を納めなければならなくなる可能性があります。
このように、名義株をそのままにしておくことは、後々大きな問題となってしまいます。
3.名義株の解消方法
名義株を解消するためには、事実関係を整理したうえで、下記の点を確認し、真の株主を判断することになります。
(1)出資したのは誰か
(2)株主総会で議決権を行使しているのは誰か
(3)配当を受け取っているのは誰か
(4)名義貸しの理由の合理性
(5)名義貸与者と名義借用者との関係及びその間の合意内容
(6)株主としての自覚はあるのか否か
以上により名義株であることが確認できれば、名義株主から名義株であることの確認書や株式の名義変更についての承諾を得て、名義変更手続を行います。
※名義株主の協力が必要で、勝手に名義変更することはできません。
万が一、名義株主が名義変更・承諾書を拒否した場合には、強制的な方法を選択することになります。
強制的な方法としては、スクイ―ズアウト、株式併合、種類株式の活用が考えられます。
4.まとめ
創業からの歴史が長い企業などの場合「名義株」がそのままになっているというケースが見られます。名義株は会社にとってプラスとならないことが多いですので、早めに解消しておくことをお薦めします。