2021.04.07
ブログ
登記に必要な印鑑②
こんばんは、佐﨑です。
前回に引き続き登記手続きでいただく印鑑のお話です。
一つ前のブログでは印鑑が必要な人がどなたか、ということについて書きましたので、今回はその印鑑の種類について。
登記書類に押す印鑑は、
認印でいい場合と必ず実印の押印が必要な場合があります。
まず認印でいいのは、登記申請における権利者です。
この「権利者」というのは、簡単に言うと、
登記申請において利益を受ける側の人のとことで、
わかりやすいところで言うと、住宅ローンなどを完済し、「さあ、自宅に付いてた担保権を外すぞ」となったときの不動産の所有者です。
上記のような抵当権抹消登記においては、
担保が外され、晴れて真っさらな不動産になるわけで、なにも悪いことはありません。
「担保権の解除」という利益を受けることになりますね。
ここからは少し用語解説ですが、
「権利者」がいるということは、「義務者」もいます。
こちらは反対に、登記申請において、不利益を被る人です。
先ほどの例で言えば、担保権を設定していた金融機関がそうなります。
万が一のときのために設定していた抵当権を
外してしまうという点で不利益を被ります。
さらに代表的な例を挙げるとすれば、
不動産売買における売主(=不動産の所有者)ですね。
「利益を受ける(権利者)⇔不利益を被る(義務者)」という視点だと、
売主は買主から売買代金という利益を受けるから、権利者だと誤解しますが、
あくまで不動産メインのお話でして、
替えが効かない唯一の不動産を手放す、
という意味で義務者となります。
法律用語てややこしいですよね、、。
私も説明しながら、大学の授業で「善意無過失」とかが出てきたときを思い出してます。
話が逸れましたが、以上が登記申請における申請当事者の区分です。
さて上記を踏まえて、先ほどまでに出てきた登場人物のうち、実印が必要な方が1名いらっしゃいます。
抵当権抹消登記の、
1、権利者(自分の不動産から担保権を外す人)
2、義務者(設定していた担保権を解除する金融機関)
所有権移転登記の、
3、権利者(買主)
4、義務者(売主)
さあどれでしょうか。
(シンキングタイム。。。)
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「権利者は認印で可」なので、先ず1.と3.は消えますね。
2と4のどちらかですが、正解は4です。
おわかりいただけたでしょうか。
登記申請における義務者でも、2と4では
何が異なるかと申しますと、ずばり
「義務者が不動産の所有者であるか否か」
です。
4の場合は申請当事者である売主は、その時点では所有者と同一です。
これらが一致する場合に実印の押印が必要となります。
繰り返しですが、不動産を手放すという不利益を受けるので、本当にそれで良いか担保するために、より強い証拠(実印と印鑑証明書)を要求されるわけですね。
それをもって本人確認と申請意思の確認を強固にするわけです。
そして、先ほどもさらっと書きましたが、
実印の押印と印鑑証明書の添付はセットです。
印鑑を押しただけだと、それが実印かどうかがわからないためですが、このときの印鑑証明書は法務局での確認後、返却してもらえる場合としてくれない場合があります。
そういう仕様になっています。
この辺もときどき、「あれこのときは返却してもらえるんだっけ?」となるので、
またなにかの機会にまとめたいですね。
それでは。