2020.12.08
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数個の家族信託契約
こんばんは。加古です。
家族信託を行う場合に、親である委託者やその家族のニーズによっては、複数の家族信託契約をすることもあります。
例えば、家族信託の「目的ごと」「財産ごと」や「受託者ごと」に数個の家族信託契約を設計します。
1.目的ごとの家族信託契約
家族信託契約を行う目的や意図に即した家族信託を設計することです。
具体的には、①認知症対策として財産管理を目的としてアパートを信託するものと、②自分が死んだ後は奥さんに承継させ、奥さんが死亡した後は、自分の弟に承継させるとし自宅を信託する場合、一つの家族信託契約で賄うのは困難です。
①では、委託者・受益者が死亡した場合には家族信託契約を終了させるのに対し、②では受益者連続型家族信託として、委託者・受益者が死亡しても家族信託契約が終了しない設計をする必要があるからです。
2.財産ごとの家族信託契約
託す信託財産ごとに家族信託契約を設計することです。
①資金の管理や給付のために信託するものと、②会社の事業承継を目的とした株式の信託をする場合も、一つの家族信託契約とするよりも、金銭信託契約(※①の場合)と株式信託契約(※②の場合)に分けた方が合理的です。
3.受託者ごとの家族信託契約
親が①老後の生活費や医療費・施設費等の給付と②賃貸アパートの管理を目的とした家族信託をする場合において、長男には②の不動産管理を任せ、長女には①の金銭管理等を任せたいときは、管理する受託者ごとに契約を分けたりします。
この方が、契約内容も複雑にならず良いのではないでしょうか。
4.まとめ
以上のように、委託者やご家族のニーズによって家族信託契約を複数に分ける方が合理的なこともありますが、一つ注意すべことがあります。
家族信託契約を複数に分けた場合には、損益通算が出来ません。
つまり、その家族信託契約ごとに収支計算をしなければならなくなり、別の家族信託契約との収支を合算することも出来なくなります。