2019.12.22
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債権法改正(時効1)
こんにちは、田中です。
今日は、来年から施行される債権法についてです。
今回の債権法の改正趣旨は、
①社会・経済の変化への対応のために、実質的なルール変更を伴うもの
②国民一般にとって分かりやすい民法にするために、実質的なルール変更を伴っていないもの
があります。
②は、これまで蓄積されてきた判例法理の条文化をしています。
そのため、これまでのルールにほとんど変更はありません。
しかし、①については、実務に影響を与える点が多数あります。
そこで、このブログで①について説明していきたいと思います。
【時効】
時効の制度を分かりやすくするために、旧法における「時効の中断」の効果を以下のとおり変更されています。
・時効の完成猶予:猶予事由が発生しても時効期間の進行自体は止まらないが、本来の時効期間の満了時期を過ぎても、所定の時期を経過するまでは時効が完成しないという効果。
・時効の更新:更新事由の発生によって進行していた時効期間の経過が無意味なものとなり、新たに0から進行を始めるという効果。
これまで、「時効の中断」には上記の2つの意味がありました。
今回の改正趣旨の「分かりやすい民法」とするために、上記のように改めました。
次に、時効の完成猶予事由と更新事由です。
・裁判上の請求等(①裁判上の請求、②支払督促、③裁判上の和解・民事調停・家事調停、④破産手続参加・再生手続参加・更生手続参加)
まずは、時効の完成が猶予されます。
そして、裁判手続において、確定判決等で権利が確定したときは、各事由の終了まで時効の完成が猶予された上で、その事由の終了時に時効が更新されます。
・強制執行等(①強制執行、②担保権の実行、③形式競売、④財産開示手続)
まずは、時効の完成が猶予され、その事由の終了時に時効が更新されます。
・仮差押え等(①仮差押え、②仮処分)
①、②の事由が終了した時から6箇月を経過するまでの間は、時効の完成が猶予されます。
旧法と異なり、時効の更新効果はありません(※手続きが暫定的なものにすぎないため)。
・催告
催告があったときから6箇月を経過するまでの間は、時効の完成が猶予されます。
・協議を行う旨の合意
この合意が書面等でされたときは、時効の完成が猶予されます。
・承認
承認があった時から時効が更新されます。