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2020.06.30

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農地と家族信託

こんばんは。加古です。

 

最近、仕事で名古屋近郊の市へ行くことが多いのですが、そこには田んぼや畑がたくさんあり、耕作されている人をよく見かけます。

 

弊社は名古屋の県庁や市役所からほど近い東区東片端に会社があるのですが、この辺りでは田んぼや畑を見かけることはありません。

 

 

田んぼや畑を所有されている農家や地主にとっては、不動産評価の圧縮や、納税資金を確保し、不動産を減らないように相続を乗り切ることは、大きな関心事です。

 

家族信託契約においては、田んぼや畑=農地についても良く受ける相談の一つです。

 

なので今日は「農地と家族信託」について書いて行きます。

 

 

 

 

1.農地の状態のままでは家族信託できない

 

農地については、農地法という法律で様々な規制がされています。

 

農地を家族信託するには、農業委員会の許可や届出が必要であり、この農業委員会の許可や届出は、信託契約の効力発生要件となります。

 

したがって、農地を信託財産とする場合は、農地法の適用を受けますので、農業委員会の許可又は届出がなければ信託をすることができません。

 

そして、農地のまま家族信託の受託者となれるのは、農業経営事業を行う農業協同組合だけです。

 

 

つまり、農地の家族信託は、基本的に認められていないのです。

 

 

なお、宅地、建物や現金などの農地以外の財産については、家族信託契約と同時に契約の効力が発生します。

 

 

農地を現況のまま(農地のまま)で、受託者が管理したり、承継できるようにしたい場合は、任意後見、成年後見や遺言などの制度を利用することになります。

 

 

2.農地の家族信託をするには農地から転用すること

 

上記の通り、現在の土地が農地である場合、家族信託することはできません。

 

 

ただし、「農地転用して自ら宅地開発等をしていきたい計画」などがあり、本人が将来、認知症等で判断能力を喪失してしまう可能性が高いと思われる場合には、その農地について、農業委員会の許可等を得ることを条件とする「条件付家族信託契約」を締結することで家族信託を進めて行くことが出来ます。

 

 

この「条件付家族信託契約」を締結した後、将来、宅地転用を行うタイミングで農業委員会の許可等を得ることにより初めて信託がスタートします。

 

 

なお、すべての土地を農地から宅地に転用できるわけではないので注意して下さい。市街化調整区域内に農地がある場合は、宅地転用が認められないことが多く、家族信託を進めることは出来ないのです。

 

※市街化調整区域

・市街化を抑制する地域として、原則、住宅やアパートを建てることが難しい区域。
・農地を宅地に転用し、住宅を建築するためには許可が必要。
・例えば、家族が結婚などで分家し、新居として自宅の建築をしたいが、市街化区域内に土地を保有していない等、一定の条件があり、これを満たさない限り、許可を得ることが出来ない。

 

したがって、家族信託を検討する際には、家族信託をしたい農地が市街化区域か市街化調整区域か確認する必要があります。

 

 

 

 

3.最後に

 

農地を活用・処分できるように家族信託で対策出来ないか?という相談は多いのですが、対象となる農地が市街化区域で、農地から宅地へと転用計画があり、その計画を進めて行くのであれば家族信託は出来ますが、現在の利用状況が農地のままでは家族信託をすることは出来ないため、将来的な対策として農地の家族信託は難しいです。

 

そして、宅地に転用する予定の農地については、「条件付家族信託契約を締結する」か「任意後見制度を利用する」のどちらを利用するか検討する必要があります。


 

アストラでは、どのような制度を利用するのがベストかしっかりとご説明します。

ご両親の財産管理や相続対策について検討されている方は、是非、ご相談下さい。

 

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