2020.05.15
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民法改正(弁済の充当)
こんにちは、田中です。
本日もいつもどおり、債権法改正についてです。
【弁済の充当】
弁済の充当とは、債務者がした給付が、その債務の全部を消滅させるのに不足がある場合に、その給付をどの債務の弁済に充てるかをいいます。
つまり、弁済をしても、元本、利息及び費用の全部を消滅させるに足りないときに、どれから消滅をさせていくかということです。
弁済の充当が問題となる場合が2パターンあります。
①まず1つ目が、債務者が複数の債務を負っている場合に、その弁済が全部の債務を消滅させるに足りない場合です。
例えば甲が乙からお金を複数回借りた場合の、債務A、債務Bがある場合です。
この場合については、弁済をする者(上記の例の場合は甲)が、弁済をするときに債務を指定することができます(債務A又は債務Bのどちらを消滅させるかを選ぶことができます)。
逆に甲が指定をしない場合は、乙が指定をすることになります。
これらを「指定充当」といいます。
②2つ目が、債務について元本のほか、利息及び費用がある場合に、その弁済が債務の全部を消滅させるに足りない場合になります。
例えば、丙が丁からお金を借りた場合の、借金自体、利息と契約費用などが考えられます。
この場合は指定充当をすることができず、費用、利息、元本の順で充当がされることになります。
そして、充当の結果、その一部が消滅しない費用、利息、元本が複数ある場合は、上記の指定充当の問題となります(当事者が弁済先を指定します)。
①、②ともに、当事者による指定がない場合に、以下の順序に従って充当されることになります。
1.弁済期のあるものを先に充当
2.全ての債務に弁済期がある、又は弁済期がない場合には、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当
3.上記2の弁済の利益が等しいときは、弁済期が先に到来したもの、又は先に到来するものに充当
4.2、3の場合でも等しいときは、それぞれの債務に応じて充当
これを「法定充当」といいます。
上記①、②の場合でも、弁済の充当に関する合意がある場合には、その合意に基づいて充当することが可能です。