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2020.05.12

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事業承継における家族信託

こんばんは。加古です。

今日は「事業承継における家族信託」について書いていきます。

 

 


 

1.はじめに

近年、会社のオーナーである大株主の高齢化が進み、認知症や寝たきりになってしまい、株主総会の決議が出来ず、会社経営(役員の改選ができない等)に支障をきたす会社が出ています。

 

また、オーナーが遺言を作成せず亡くなってしまったり、遺産分割協議が進まず株式の承継者が決まらない、そもそも株式が分散し多数の株主を抱えている、など経営困難な会社も見受けられます。

 

そこで、経営者は、円滑な経営を継続させるためにも、後継者への事業承継について早い段階で準備しておく必要があります。

すでに種類株式や属人的株式を活用している会社も増えてきました。

 

そして、家族信託は、事業承継対策にも活用できます。

 

 

2.家族信託以外の株式承継

中小企業の場合、自社株式の大部分を会社オーナーが所有しているケースが多いと思います。事業承継するときには、オーナーが所有している株式を後継者に移転させます。

 

(1)株式の売却
オーナーと後継者の間で株式の売買をして、事業承継を行います。

 

株式の売買金額は、税務上適切な自社株の評価を行い決定します。この自社株の評価額が高い場合は、後継者が自社株を購入する多額の資金を用意する必要があります。

 

また、株式を売ったオーナーには、譲渡益に対して譲渡所得税が課税される場合があります。

 

(2)株式の生前贈与

オーナーが株式を後継者に贈与して事業承継を行う方法です。

 

株式の贈与をすると、贈与税がかかります。

 

贈与の場合も、自社株の評価を行いますが、株価が高い会社が株式を一度に贈与すれば、多額の贈与税がかかります。

 

贈与税の負担を抑えるために、毎年少しずつ株式を譲渡する方法もありますが、オーナーに万一のことがあった場合には、贈与が出来なくなってしまいます。

 

さらに、株式を贈与すると、経営権(株主総会で議決権を行使する権利)も後継者に移転するので、後継者が経営者に適さなかった場合でも、株式を返してもらうのは困難です。

 

贈与の場合にも、後継者以外の相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性があるので注意が必要です。

 

(3)遺言で後継者に株式を相続させる
株式の生前贈与の他に、遺言で後継者を指定して、株式を譲渡する方法もあります。

 

遺言でも、後継者へ株式を承継させることが可能ですが、遺言は本人が亡くなることで効力が発生するものです。

 

オーナーが遺言を書いた後に認知症になってしまった場合は、冒頭で述べたとおり、株主総会の決議が出来ず、会社経営(役員の改選ができない等)に支障をきたします。

 

また、後継者以外の相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性があります。

 

 

 

3.家族信託による事業承継対策

家族信託で事業承継対策を行う場合には、株式を信託財産とし、オーナー自らを委託者兼受益者、後継者を受託者として、信託契約を結びます。

 

株式を信託する場合には、不動産のような登記手続きはありませんが、会社法の規定に基づき「株式が信託財産に属する旨を株主名簿に記載」します。

 

実際には、信託契約書を公正証書で作成し、株主名簿の書き換えをして完了です。

なお、株式の譲渡に承認が必要である旨の定めが定款にある会社では、株式の信託につき、承認を得る必要があります。

 

 

 

○家族信託により事業承継対策をするメリット

・家族信託で株式を託しても、生前贈与ではないので贈与税は掛かりません。

家族信託による事業承継では、オーナーは委託者兼受益者とします。

株式は受託者に託されるので、形式的な株式の所有者は後継者になりますが、オーナーには配当等がもらえる受益権を残すため、実質的な譲渡にはならず、贈与税は課税されません。

 

なお、家族信託による事業承継をした場合、オーナーが亡くなった後に受益権を後継者に移転させます。このときに、後継者に相続税が課税されることになります。

 

・家族信託による事業承継なら経営権の維持が可能

株式には、経営権(議決権の行使など)と財産権(配当を受ける権利など)の2つの権利があります。

 

生前贈与で株式を譲渡した場合、経営権と財産権の両方が後継者に移転するので、オーナーは経営から完全に離れ、後継者が会社の実権を握ることになります。

 

 

一方、家族信託では経営権と財産権を分け、経営権を後継者である受託者に移転させ、財産権はオーナーの元に残したままにします。

しかし、この状態だと経営権を持つ受託者である後継者が株主総会で議決権を行使することになるため、生前贈与と同様、後継者が会社の実権を握ることになります。

 

そこで、家族信託では<指図権>を利用します。

指図権とは、信託財産の管理や処分などについて、受託者に指図できる権限です。

株式の家族信託に際して、委託者に指図権を設定すれば、委託者が議決権行使について受託者に指示することが出来ます。

 

 

この指図権を設定しておくことで、株式を後継者に移転させた後も、オーナーが経営権を維持することが可能です。

 

このように家族信託では、オーナーが実権を持ったまま後継者を教育し、後継者が一人前になったのを見届けてから実権を渡すといったことも可能です。

 

・家族信託契約は解除できる

後継者との間で家族信託契約を結んだ場合でも、家族信託契約を解除できます。

後継者とした人が経営者としてふさわしくない場合には、家族信託契約を解除して、他の人を後継者に選ぶことも可能です。

 

 

 

 

○最後に

事業承継スキームには、家族信託、種類株式、売却・贈与など様々あります。アストラでは各制度に精通して、様々な制度の組合せによって皆様に的確で適切な対策をご提案を致します。

 

 

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