2019.10.27
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死因贈与仮登記の本登記
こんにちは、田中です。
先日、死因贈与契約を原因として、所有権移転の仮登記をしていた受贈者様から、贈与者様が亡くなったとのことで、仮登記の本登記のご依頼がありました。
まず、用語の確認です。
死因贈与契約とは、財産をあげる人(贈与者)が、死亡することによって効力が生じる贈与契約をいいます。
仮登記とは、将来なされる本登記のために、あらかじめ登記上の順位を確保しておくための登記です。
本来、登記は、原則登記をした前後によって優先順位が決まります。つまり、早く登記した者が勝つ、ということです。
しかし、要件が欠けるために登記が全くできないとなると、当事者にとって不利益になります。そこでその不利益を防ぐために仮登記の制度があります。
本登記は、仮登記と両立しえない矛盾した登記を抹消したうえで、確定的な権利を取得することができます。
さて、死因贈与契約は、契約なので、口頭ですることができます。
ただし、後日の争いを避けるために、契約書を作成することがほとんどだと思います。
契約書を作成する際に、私署と公正証書の違いがありますが、どちらで契約書を作成したかによって、登記手続も変わってきます。
通常の贈与の登記申請をする際は、贈与者は、申請書(代理人の場合は委任状)に実印を押印し、印鑑証明書を添付します。
今回の死因贈与は、贈与者が亡くなっているので、代わりに贈与者の相続人全員の実印と印鑑証明書が必要となります。
ただし、贈与契約の中で執行者が指定されている場合には、執行者の実印と印鑑証明書で足ります。
この場合で公正証書と違って私署証書の場合は、贈与者の相続人全員の承諾書と印鑑証明書が必要となります。
つまり、公正証書で死因贈与契約を締結した場合は、贈与者の相続人の関与が不要となりますが、私署証書の場合は、相続人の関与が必要となってきます。
せっかく執行者を定めても、相続人の協力が必要です。
受贈者と相続人の間で争いがある場合は、登記することが難しくなってきます。
死因贈与契約をする場合は、公正証書で締結するのが無難です。