2020.08.14
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民法改正(契約解除②)
こんにちは、田中です。
前回の続きで、契約解除について改正された内容を説明していきます。
【催告解除】
そもそも催告解除とは何でしょうか?
催告解除とは、相手方が債務の履行をしない場合に、相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときに契約を解除することです。
例えば、アパートの借主が、家賃を滞納している場合に、期限を設けて支払いを通知したとします。
その期限内に支払いがない場合に、賃貸借契約を解除する、といったものが催告解除です。
【催告解除についての改正内容】
判例では、不履行の部分が僅かである場合や、契約目的を達成するために必要とはいえない付随的な義務の不履行の場合にまで、契約の解除ができるとはされていませんでした。
そこで、新法では、債務不履行が「契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることができない、とされました。
【無催告解除についての改正内容】
契約解除をするにあたって、催告を必要とされているのは、債務者に債務の履行の機会を与えるためです。
そうすると、①そもそも債務の履行ができない場合や、②定期行為の場合には、催告によって履行の機会を与える必要がそもそもないため、現行法上、催告は不要とされています。
ちなみに、定期行為とは、特定の日時や一定期間の間に履行をしなければ契約目的を達成することができない行為のことをいいます。
例えば、クリスマスケーキを予約していた場合。
クリスマスの日にそのケーキを購入できなければ、意味がありません。
このような、日時や期限が決まっているものを、定期行為です。
しかし、上記の①、②に関わらず、債務者に履行の機会を与える意味がない場合にも、無催告解除を認めることが有用とされ、改正されました。
【無催告解除の要件】
新法では、上記のような場合に加えて、
①債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確にした場合
②債務の履行の一部が不能であったり、債務者が拒絶した場合において、残りの部分では契約目的を達成できない場合
③債務者に催告をしても、契約目的を達成できる債務の履行がされる見込みがないことが明らかな場合
にも、無催告解除ができるようになりました。