2020.01.29
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家族信託における信託業務
こんばんは。加古です。
家族信託では、契約しスタートした後も重要です。
家族信託の内容によっては、信託が数十年にわたることもあり、受託者はこの期間は信託財産を管理し続ける必要があります。
この点について、説明されている媒体はなかなかありませんので、今日は、家族信託がスタートしてからについて具体的にどのような事を行うのか記事にしたいと思います。
1.受託者の義務
(1)善管注意義務
受託者には、信託上、「善管注意義務」が課せられています。
「善管注意義務」とは、信託業務を受任した人の能力や社会的地位などから考えて、通常期待される注意をもって、目的物を保存しなければならないという義務のことです。
より分かり易く説明すると、「受託者は、家族の財産を預かるのだから、自分の財産以上に気を付けて管理しなくてはいけません」と言うことです。
家族信託では、受託者に信託すると、その財産の名義は受託者名義になりますが、受託者の固有財産ではありません。
信託財産が不動産の場合は、不動産価値を下げないように、修繕や手入れを行い管理することが「善管注意義務」となります。
ただし、家族信託は家族間で行うことを想定していますので、厳格な善管注意義務が信託業務に支障をきたす場合もあるかもしれません。
この様な場合のために、信託法では、家族信託契約書で定めることで、善管注意義務を軽減することもできます。
しかし、完全に善管注意義務を無くすことはできません。
2.受託者の信託業務
(1)費用の支払い
信託財産が不動産であれば、電気・ガス・水道・固定資産税や修繕費用の支払い。
その他、受益者の生活費、入院費、施設費等の支払いです。
これらの費用は、信託財産とした金銭から支払います。領収書等はちゃんと残しておきましょう。
(2)不動産の管理
修繕が必要な箇所があれば、業者に依頼し修理したり、雑草が生い茂っていれば、除草等を行います。
また、近隣住民とのトラブル防止や対応も適切に行います。
このように管理を続け、価値の低下を防ぎます。
(3)不動産の売却
信託財産である不動産を売却する場合は、受託者が売主として売却手続きを進めて行きます。
3.信託業務の記録
受託者には、信託財産に関する書類の保管や記録作成義務が課せられています。
領収書の保管や現金出納帳の作成、業務日誌を付けて行きます。
業務日誌は、決まった書き方があるわけではありませんが、①いつ、②どこで、③何を、④いくらで、⑤誰に、⑥何をした、等を記録すればよいでしょう。
4.まとめ
家族信託は、家族の財産を託されるわけですが、家族だからといって適当に監理したり、記録を付けなかったり
ではいけません。
家族とはいえ、あくまで他人の財産ですので、法律上、様々な義務が課せられているのです。
法律や契約で定められたことはしっかり行いましょう。
信託業務についてはも、我々、司法書士法人アストラがサポートいたします。