2020.08.21
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民法改正(消費貸借①)
こんにちは、田中です。
今日の民法改正は、消費貸借についてです。
【諾成的消費貸借】
旧法では、消費貸借は、金銭等の目的物が相手方に交付された時に成立するとされていました。
これを「要物契約」といいます。
つまり、物が相手方に渡った時に初めて効力が生じます。
しかし、消費貸借が要物契約とすると、不都合が生じる場合があります。
例えば、確実に融資を受けたい借主としては、貸主とお金を借りる合意をしたにもかかわらず、契約が成立していないため、貸主は融資の拒絶をすることができます。
これは、借主にとってリスクであるので、判例は、貸主と借主の合意のみで消費貸借が成立するとしていました。
これを「諾成的消費貸借」といいます。
しかし、当事者の合意のみで消費貸借が成立するとなれば、安易な口約束に拘束されかねません。
そのため新法では、諾成的消費貸借は、書面等がある場合に限って成立するとしました。
なお、書面等が作成されれば、必ずしも諾成的消費貸借となるものではありません。
金銭等の目的物を交付することによって、効力が生じる契約はなおも有効です。